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ArKitypeのブログ

セガ信者なArKitypeがゲームとか趣味の話を書いてます COJ成分多め

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【SS】 月夜の如き少女 part1 【COJ】

COJ SS 月夜の如き少女

 夜空の月明かりと切れかかった街灯が弱々しくあたりを照らす、夜の路地。 いかにも不気味な夜といえる雰囲気を放つ道に一人、あまりにもその路地には似合わない、一人の少女がいた。 

 少女の名は京極院沙夜。 エージェントという影の仕事をもつ中学生である。

 その容姿には男性のみならず女性までも美麗といわずにはいられないだろう。 整った顔に、輝くように美しい髪、そして和服という昨今の街ではまず見ないであろう衣装が彼女の異質なまでの美しさを引き立てている、その少女はまさに美少女というべきであろう。

 そんな彼女は夜の街を「一仕事」終えて家路についていたのだった。

 「世の中には不思議なこともあるのじゃのう」

 一人、歩きながら少女はつぶやいた。 生まれつきの体質から身についた、おおよそ同年代の少女とは違うであろう言葉づかいで。

 「こうやって儂がかような仕事に就くことにはおもいもしなかったのう…」

 家路に就く少女の手には今巷でそれなりの人気を見せているファンシーキャラクター「ミイラくん」のキーホルダーやストラップが家の鍵や携帯電話とともに握られていて、時折彼女の言葉に答えるかのようにじゃらりと音を立てる。

 「しかしいつ見ても不思議な世界じゃ…あのアルカナとやらは」

 彼女のエージェントという仕事はこの世界と瓜二つの電脳世界での不届き者を成敗する、といういかにも現実離れしたものだった。 彼女もまた、その世界の存在を知らされた時には戸惑い驚き、今でもアルカナで起こり続ける不可解な出来事に疑問を抱きつつも一度請け負った使命を無碍にできない彼女は時折やってくる任務をそつなくこなしていたのだった。 

 今日の任務は、「小学校の児童の名簿を盗み出そうとしたの撃退」だった。ちょうど、近くの中学校に通う沙夜に太鼓判が押されたというわけだ。 事の主はどうやら子供のいる家を狙う詐欺師グループの「名簿屋」と呼ばれる存在らしく、どうやら詐欺師の間ではこのアルカナ空間を通じて現実世界の戸籍や会員などの情報を手に入れて、詐欺の獲物を品定めしているらしい。この話は、あっけなく沙夜と彼女の使役する「ユニット」と呼ばれる自律プログラムに取り押さえられた犯人の談である。

「人のお金をだまし取ろうなど言語道断じゃ」

  さきの犯人のことを思い出し、少し腹が立った沙夜。 彼女が生来「見える」ものの中にはそのような邪な者に騙された恨みつらみを彼女に訴えるものもいた。彼らの心からの後悔と悲しみに耳を傾け続けその思いを長年受け止めつづけた沙夜にはそのような輩を許すわけには行かなかったのだ。

 「ひとまず、これで少しは平和になるといいのじゃが…」

 彼女の思いは多くの者の懇願でもある。 彼女はその沢山の願いを胸にこのエージェントという仕事に就いている。

 「明日は何事もないといいのう…」

仕事を終え、我が家に戻った沙夜。 歴史ある旧家、京極院家の扉を開き彼女は普段の夜の生活へと戻る。

 「明日も普通に学校じゃ。そろそろねないと…のう、ミイラくん」

 彼女の部屋にでんと置かれた小学生の身長ほどはあろうかという大きさのミイラくん人形に部屋に戻るなり抱きつく沙夜。 エージェントの仕事も楽ではない。彼女の疲れの癒やしはミイラくんだった。 

「さて、明日の準備じゃ…」

 満足したのか、ミイラくんのもとを離れ、明日の”日常生活”の準備を始めた。 彼女も基本は中学生の少女である。 時刻はすでに次の日へと移ろうとしている。 14歳の少女には少々遅い時間だ。

 「明日の宿題、ちゃんとやってあったかのう…?」

 ”エージェント”と”女子中学生”。 この両極端の毎日を彼女は明日も続けていく。