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【二次小説】月夜の如き少女 part9 "セーラー服とマシンガン②"

 授業の視察は滞り無く進んでいた。 和服少女の制服での登校にクラス中がざわめいていたが、流石に知らない大人の目があるせいか、視察の授業の時はみなおとなしく授業を受けていた。 たまにある先生への茶化しもなく、まさに「優良なクラス」のような授業だった。

教室の後ろに控える「偉い人達」も、真剣な顔でバインダーに挟まれた髪に何かを書き込みながら、授業を見ている。 中学校の授業は60分。 始まってから40分くらい経ったころだろうか。

 ガタンと音がして沙夜の隣に座っていた男子生徒が挙手をして立ち上がった。

「すみません、体調が悪いので保健室に行っていいですか?」

 上げている手も弱々しく、顔も青ざめている。

「そうですね…それじゃあ、京極院さん。 保健室まで安藤くんを連れていってもらえますか?」

「はい、分かりました。」

 沙夜は先生の頼みに即答し、安藤と呼ばれた男子生徒の肩に手を添え、彼を送り届けに出て行った。

 余談だが、この後安藤少年は多くの男子生徒の嫉妬を買ったとのことである。

 

 「安藤、ずいぶん顔色が悪いのう。 なにか悪いものでも食べたかの?」

 保健室へと向かう廊下の途中、沙夜が安藤に問いかける。

「昨日、ちょっとパソコンいじってて寝る時間は短かったかもしれねえけど別段、身体に悪そうなものは食べてないはずなんだけどな…悪いな京極院。」

「先生にいわれてやっているだけのことじゃ。 案ずることはない。」

「いや、むしろこの状況はありがたいのかもな…」

「?」

 安藤の言っていることに今ひとつ理解が追いつかない沙夜。 和服の時はいつも注目を浴びていて、今日もまた好奇の視線を多く感じたが、その中に混ざっている主に男子生徒の好意の視線には気づいていないようだ。 

 そうこうしているうちに、保健室に辿り着いた二人。 沙夜が軽いノックをすると、部屋からどうぞ、と声が聞こえてきた。  

「失礼します。」

 ガラガラと戸が音を立て、沙夜の声を少し遮る。 

「あら、京極院さん。 それに安藤くん。 今日はどうしたのかしら?」

 保健室の声の主は、この学校の保健医を務める妙齢の女史。 全校生徒の名前を覚えているという、類まれな特技の持ち主でなおかつ人付き合いも生徒教師を問わず良好で、学校ではかなりの人気を誇っている。

「私は安藤くんが体調不良との事なので、その介添えに来ました。先生、安藤くんをよろしくお願いします。」

「ふふ、わかりましたよ京極院さん。 それで、安藤くんはどうして今日は体調を崩したの?」

 先生の問いに安藤が廊下の時と同じような答えを返した。

「パソコンねえ…若いうちから使いすぎるとダメよ。 ほどほどにしないと……ああ、パソコンといえば私のパソコン、少し変なのよねえ……」

 と、沙夜が教室に戻ろうと戸に手をかけたトキ、安藤に駄目だしをしつつ、ひとりごとのように保健医の先生が愚痴をこぼした。

「どうも誰かが勝手に触ったわけでも無いのに設定が変わっていたり画面にへんなのが映り込んだりするのよねえ……故障かしら。」

 (……?)

 沙夜は何かを疑問に思ったのか、戸を引こうとしていたてを一旦、止める。

「この前パソコンに強いって言うから教頭先生に聞いてみたんだけど他の先生にも同じような相談があって、ワシにもよくわからないーですって。ちょっとこわいわよねえ。」

 誰と話すわけでも無く、しばらく愚痴を続ける先生。 どうやら、パソコンの話は終わったらしく、別の話題に話が飛んでいた。

「…失礼しました。」

  愚痴の腰を折らないように、少し小さな声で挨拶をし、退室する沙夜。 彼女の心にはある疑念が渦巻いていた。

(…そういえばこの前、ここの近くの小学校にアルカナから侵入を試みたものがいたのう……)

 先日、沙夜が追い払った不審者は、小学校の名簿を狙っていると自供していた。

 (そしてこの前の住宅への侵入者は蔵にあった、山積みのパソコンから何かを狙っていたようじゃが……)

 学校、パソコン、そして先の先生の愚痴。 なにか関係があるのでは無いのだろうか?沙夜は疑問は少しづつ大きくなっていった。

「……何も無ければいいのじゃが……」

 流石に、10分も教室から離れるわけにも行かないため、考えから遅くなっていた歩みを早める。

 沙夜が教室に戻ったあとも、授業は滞り無く進んだ。 終業のチャイムが鳴ると、偉い人たちも満足らしい表情で教室を出ていった。

 すると、教室内に漂っていた緊張の糸が切れ、生徒たちが騒ぎ出した。 担任の先生もプレッシャーがたたったのか、疲れの色が見える。

 それから5分ほどして、ざわめきが収まり、先生が帰りの挨拶を簡潔に済ませると、すんなりと放課後となった。 みんなが、思い思いに友達と帰路についたり、話題の芸能人の話をはじめたりと、普段と変わらない放課後が始まった、と沙夜も一息ついて帰り支度を済ませたその時、沙夜の制服の胸ポケットにしまわれていた、端末がバイブレーションと一緒に、警報を示す赤い光を点滅させた。 アクティスからの緊急指令である。

沙夜の疑念は現実になった。 沙夜は急ぎ足で、人気のない、普段は鍵の掛っている屋上へと続く階段を上っていく。 踊り場を過ぎて、階段の3/4ほど上ったところで端末を起動させる。 音量を、他の生徒たちに聞き取られないように絞ってアクティスとの通信呼び出しを繋ぐ。

『エージェント京極院。 あなたの通学する学校内へ、アルカナからの侵入者を確認しました。 現在、そちらは前回の小学校への侵入を顧みて同じく公的機関ということもあり、アルカナへの侵入を警戒して、ユニットによる警備網を敷いていましたが、強行突破されました。 至急、対処に当たってください。 それでは。』

 一方的な報告をした後、沙夜の応答を聞く間もなく、通信が途切れた。 よほど、危惧しているようである。 沙夜もここの一生徒である。 学び舎を侵されるのには快いはずがない。

 そこには、美しい少女ではなく、1人のエージェントがいた。

 普段の落ち着いた動きを残しつつも正確な操作で、アルカナへの移動の申請を完了させ、ゲートを開く。 学校を守る戦いが今始まった。

 

つづく

 

 

 

 

 

 

***

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