ArKitypeのブログ

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【二次小説】月夜の如き少女 part10 "セーラー服とマシンガン③"

一瞬の暗転、そして眼前で展開される世界。 京極院沙夜はアルカナへと舞い降りた。 見た目はいつも通っている学校。 人がいないことを除けば何一つ現実と変わらない世界。 階段を下りながら沙夜はアクティスからの通信がきた端末を手に取る。

『アルカナへの転送、完了しました。 只今より任務の通達を行います。』

 と、アクティスが告げた矢先。 廊下の窓から見える中庭に突如大きな火柱が立った。  

 ゴウ、という轟音とともに火の粉が舞い上がり。 焼きつくされ黒焦げになった木々がアルカナ内のオブジェクトとしての形を保てなくなり四散する。 明らかに自然現象ではない。 現実と瓜二つの姿形をしているアルカナ空間は、同じように天候の変化や昼夜の概念は存在するが、このような異常な現象はまず起こらない。 それが起こったということは。

「アクティス、どうやら侵入者のほうから居場所を教えてくれるようじゃ。 それで、今回はどのように扱えばいいのじゃ?」

 火柱によって巻き起こった爆風に圧されギシギシときしむ窓の向こうを見つめつつ、沙夜が尋ねる。

『こちらも現象を確認しました。 今回の侵入者はユニット等を扱える可能性が大きいです。 侵入者の捕縛を再優先に、困難な場合は撃退してください。』

「相わかった」

『それでは、ご健闘を。』

 そう言い残し、通信が終了した。

「さて……今回は手間が掛かりそうじゃ。 手加減はせんぞ?」

  沙夜がそうひとりごとを口にし、中庭へ向かおうと踵を返したその時、 中庭からドゴンッ!と何かを叩きつけるような音がし、沙夜が先まで見ていた場所を今一度振り向いたその時。

 ドォン!とひときわ大きな轟音とともに中庭を一望できる窓が壁もろともガラガラと崩れ落ちたのだった。

 「なんと強引なことをするものじゃ……ものは大切にと教わらなかったのかのう…」

 呆れ混じりの嘆息とともにつぶやき、虚空にシステムウィンドウを起動させる。 バトルフィールドが展開され、沙夜の使うユニットたちがウィンドウに表示される。 「隠れずに堂々と動くのはいいが迷惑を考えてもらいたいのう。 おとなしく観念せよ。」

  声高に中庭にいるであろう侵入者に問いかける。 元から投降してくれる期待はしていないのだが。

「なんだぁ? 管理局の人間がいるって言うから派手にぶちかましたが子供だとぉ?」 すると、崩れ落ちた壁の穴の縁に、ガチャリと三叉にわかれた鉤爪が取りついたと思うとウィンチがワイヤーを巻き上げる音と共に、筋肉質の男が姿を表した。 背は高く、軍服のような深緑の服を着て、左手には先ほど使ったであろう鉤爪のついたワイヤーやそれを巻き取る装置が取り付けられている。 サングラスをしているため、その表情は読み取れないが、少なくとも想定していた相手が子供だということに驚きを隠せないようだ。

「お主か。今回の侵入者とやらは。 全く派手にやってくれたのう。何が目的じゃ?」      高圧的な雰囲気を醸し出す男に気圧されること無く沙夜は男に問う。

「ハッ。いくら相手がガキでもンなもん明らかに敵対してる奴に言うわけ無いだろぉ、なぁ?とにかく邪魔をするなら容赦はしねえぞ。さっさと消えな!」 「法を犯している身でよく言うのう。 後は現でゆっくり聞いてやる。 おとなしくするのじゃ。」

 すると、男が一歩身を引き、沙夜と同じようにシステムウィンドウを起動させる。 「お高いガキだ、その余裕も今のうちだがな!」

「それは、これを見てもかのう?」

  手慣れた手つきで端末を操作し、沙夜の前にミイラくんが姿を表す。

「そんな雑魚に何ができるってんだァ!?」 明らかに戦えるような姿格好をしてないミイラくんを舐めてかかる侵入者。だが、

「ミイラくんにはご飯をあげねばのう」 沙夜の言葉と共に発動キーを受領したコードが立て続けに2つ展開される。両者を分かつように数瞬、毒を盛られたであろう者の姿が浮かび上がった。すると、侵入者の男のシステムウィンドウから供給されたコードをがすべて掻き消えた。

「なぁ…っ!?」

 男の顔が驚愕に歪む。

「さあ、お主はどこまで儂に立ち向かえるのかのう…?」

 くすくすと沙夜が不敵な笑みを見せる。 ミイラくんがあざ笑うかのように無邪気な顔で体を揺らす。 男のシステムウィンドウに新たに所有コードが追加されるも、男は中々手を撃ってこない。 システムからこの状況を打破できるようなコードを供給されなかったのか、男は憎々しく沙夜を睨む。

「フフフ……無法者にはそのようなあくどい顔がふさわしいのう。」

 システムからコードを新たに供給された沙夜が次の手を打つ。 禍々しいベッドで眠りこける少女が姿を表したかと思うと再び、毒を盛られた男が浮かび、先ほど男に供給されたコードがかき消される。すると、眠りこける少女があくびをすると同時に、沙夜のウィンドウに一つのコードが破棄されたコードを貯め置くフォルダから舞い戻る。 戦闘フィールドも、手の内もすべてが沙夜が上手である。現状、侵入者になすすべはなかった。

と、沙夜の指示に従いミイラくんが、男に手にしたハンマーを叩きつける。 バトルフィールドによって発生させられた障壁で攻撃が遮られるも、何かを削り取るような音がキシリとした。

「さあ、おとなしく負けを認めたらどうじゃ? 儂らは貴様に聞かねばならぬことがたくさんあるのでの。 そのシステムをどこから手に入れたのかも聞かせてもらうぞ?」 「ぬ、ぐぐぐ……」

 男が悔しさをにじませながら更新されたウィンドウを確認すると、不意にぐにゃりと口元が歪んだ。

「ハッ!その余裕もここまでだな!」

 男が高らかにユニットを展開する。するとマシンガンを携えた黒衣の天使が姿を現した。

『オラオラ!』

 天使が天使らしからぬ荒々しい声でマシンガンを撃ち放つ。 銃弾は、ミイラくんを打ち抜いた。

「ご自慢のミイラ野郎もご臨終だ!そのベッド女もこいつよりパラメータは低い! さあどうする!ああ!?」

 さきまでの悔しそうな顔はどこへやら。 余裕の勝ち誇った顔を見せる、が。

「ミイラくんの怒りに触れるとどうなるか知らんのか…愚か者じゃのう…」

 沙夜が呆れ顔を見せた瞬間、撃ちぬかれたミイラくんが『ウリャー!』と断末魔を上げたかと思うと、三度、男のウィンドウからコードが掻き消えた。

「なっ…!」 「敵を知らずして考えなしに動けば自らの首を締めるぞ?」

 よほど重要なコードを破棄されられたのか、男はうなだれ、手がわなわなと震えていた。 しばらくして、爪が手のひらに食い込むほど強くこぶしを握り締めると、今までのないくらいの大声を上げた。

「畜生がぁ! このガキが!その威勢も今のうちなんだよ!」

 男が背に手を回したかと思うと、男の脇には先の天使とは違う、本物のマシンガンが抱えられていた。 バトルフィールドを制御してるであろう端末を投げ捨て、銃を構える。

「いくらこのわけのわかんねえ奴らを上手く使えても結局は暴力が勝つのさ!そこで一生倒れてなあ!」

 声をさらに荒らげ、男が引き金を引く。 銃口の奥で火花が一瞬ほとばしったかと思うと、銃弾は沙夜をめがけて発射され、そして―

 その銃弾は沙夜に届くことはなかった。

「が…あぁ…」

 男が苦悶の表情と共に膝をつく。銃弾は、一振りの剣に弾かれ、そして、男の肩をもう一振りの剣が貫いていた。

「この世界での戦い方を放棄するからお主に直接手を下すしか方法がなかったからのう。 安心せい。現にもどれば痛みは消える。」

 沙夜は、男が引き金を引くより数瞬早く、2つのコードを展開させていた。

 1つは二振りの剣を振るう仮面の剣士。もう一枚は何もかかれていなかった、今は青に染められたキャンバスのコードだった。 キャンバスによって展開時にかかる行動を制限される負荷を取り払われた剣士は、その剣で放たれた銃弾をはじき落とし、そして目にも留まらぬ速さで男の肩を貫いたのだった。

 うずくまる男を尻目に、沙夜は端末を操作し、アクティスとの通信を繋いだ。 

「儂じゃ。 侵入者を捕獲した。 座標をそちらに送ったからそちらに転送してくれんかのう?」

『了解しました。転送開始します。』

 すると、男の身体が青白い光に包まれたかと思うと、その身体が消え去った。 「……一件落着かのう」

 ポツリと沙夜がつぶやいた。 ぐるりと当たりを一瞥すると、壊された壁や焼かれた木々が光の粒となって元あった場所に戻ろうと光が集まっていく。

 現世ではありえない現象がこのアルカナでは起こる。

「全くもって不思議な世界じゃのう……」

 そう言い残し、沙夜は端末の帰投コマンドを起動させ、現実へと戻っていった。 現実に戻ると階段の踊場の窓から見える空は赤みが濃くなっていた。 どこからか準備運動の掛け声が聞こえてくる。

「この平和を守るためにも、あの世界を守らねばのう…」 アルカナ空間で、焼きつくされた中庭をながめつつ、しみじみとつぶやくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更新遅れてすみませんでした。